面白い材料がいろいろあったのにうまくストーリーに生かしきれてない印象を受けました。消化不良。ミステリー仕立てだけど、謎解きをするタイプの映画ではないです。頭を真っ白にして、変に勘ぐらずに観たほうがきっと楽しめます。人間は一週間も寝ないと脳がしぼんでたいてい死ぬらしいです。一年間寝てないというコピーが一番ミステリーですね。
目のクマと骨にばっかり目が行ってしまうクリスチャン・ベイル。彼のほかの作品を観ると、どれだけこの作品で体を絞った(消耗した?)のかよくわかると思います。 鈴木 まず、眠るとはどういうことかという話です。人は何か物事を考えながらだと眠ることはできないわけで、誰でも眠りに就く瞬間というのは無心なはずです。じゃあずっと何か物事を考えてれば眠れないのか、というのは意地の悪い詮索なんですが、心が落ち着かないとなかなか眠れない経験はほとんどの人にあることでしょう。心のざわつきが体の疲れを食ってしまうのです。 なぜ人は心労するのか。たいていそれは「その人がやるべきことをやっていないから」だと答えられます。かなり突き放した答え方なんですが、義務からの逃避という罪悪感が人を苦しめるのです。「やらなければならないこと」にはいろいろあるでしょう。たとえば勉強とか仕事とかは結果的に自分にプラスされるものだからリスクは大きくないと思います。そこから逃げていれば話は変わってしまうのですが。逆に、たとえば誰かに謝らねばならないとか、償わなければならないとか、誰にでも気が進まないことはやりたくないものです。人が何かを間違えたときまずやることは、自分を正当化することなんだそうです。一番悲しいのは、謝ったりしたくないからといって自分を正当化するあまり、自分の何が悪かったのかを見失ってしまうことです。やらなければならないことをクリアしていくというのは、自分の平静を保つためであり、ひいては自分を高めるための作業なんです。 人がその日の夜にきちんと眠れるということは、その人が一日を無事に過ごせたという証明といえるかもしれません。その日にすべきことを、曲りなりにかもしれないけれど何とかこなせたということ。そして眠ることで次の日のために自分をリセットする。眠るという行為は、実際とても難しいことじゃないでしょうか。しかしたとえば、何の目標も持たずに過ごしている人などは、やらなければならないこと云々も生じないからぐうぐう眠れてしまうのでありますが、ああそれもそれでとても悲しいことですよね。(と自分に言い聞かす・・・) 要するにまあ、そういう話なんです。つまり、「宿題を終わらせるまで遊んじゃいけませんよ」というお母さんのお説教みたいな映画なんですこれは。あああの時ちゃんと宿題をやっていればもう少し今ましな生活を送れてたかもしれない、お父さんお母さんこんな親不孝な子供で悪かったよ、これからはもっとまっとうな生き方をするよと思わずにはいられない、観客ボロ泣き必至の感動ドラマなんです。いやはや。 収拾がつかなくなる前に、この言葉でもって締めたいと思います。「お疲れ、クリスチャン・ベイル」
by chuoeiken
| 2005-03-08 01:03
| ミステリー
|
カテゴリ
以前の記事
2020年 07月 2012年 07月 2008年 01月 2007年 07月 2007年 05月 2006年 11月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 リンク
フォロー中のブログ
最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|