エターナル・サンシャイン
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 これからこの映画を観たいと思っている方、できれば3回は(!)観てください。最低2回でもいいです。1回観ただけじゃどうしようもありません。んな無茶なという方は、ビデオが出てからでもかまいません。とにかく休日を総動員してでも2度も3度もじっくり観ることを強く勧めます。まあこれは、はじめ観て何がなんだかわからなかったけど、なんかこの映画が嫌いになれない、むしろ好きになりたい、と感じた人に限りますが。
 まさにそれが僕でした。僕は3回観てようやくこの映画を好きになれました。3回目のときは、ファーストシーンからもうしびれっぱなし。映画のディティールひとつひとつにもうやられっぱなし。そりゃ単にお前が話の飲み込みが悪い、映画館にとっていい客なだけなんじゃねーの、と言われたらそれまでなんですが、単純に精神的な意味でも、この映画は繰り返し観たほうが絶対感動できると思うんです(確かに話の飲み込みの悪さは否定できませんが)。そして目下はサントラを聴いて何度も感動しています。なんだか自分でも怖いです。
 こんな一人の観客を3回も映画館に来させて、しかも観るほど味の出る粋な脚本を作って、挙句の果てにはアカデミー最優秀脚本賞を取っちゃうなんて、チャーリー・カウフマンって人はなんてやり手で意地悪なんでしょう。思うにこの映画は、甘口で受け入れやすいラブストーリーとして宣伝されすぎている気がします。つい油断して観に来てしまいましたよ。だから悪いのはチャーリー・カウフマンじゃない。悪いのは日本の宣伝部だ!ギャガだ!そして俺だ!
                            鈴木



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 断じてこれは甘ったるい映画ではない。行くところまで行ってしまっている。天井を突き抜けてしまっている。なにせ、大切な人と付き合うということは、よくある出来すぎな映画のような展開と違って、どうしたって現実的なものでしかないんだ、という理論から話が始まるのだから。
 その人と付き合うということは、その人の欠点や自分と合わないところも受け入れなければいけないという暗黙の了解が含まれる。僕は彼女と付き合った経験がないので、もし大切な人と出会えたら、その人と何のいざこざもなく一生仲睦まじく暮らしたいなんて、愚かしくも考えている。考えれば考えるほど嘘くさい筋書き。それはわかっている。でも自分から進んで相手と喧嘩したいだなんて誰が思うだろう。喧嘩はしたくない、けどそうはいかないだろう、でも喧嘩はしたくない・・・。人は不可避な物事をどうにか避けようとするとき、矛盾した理論に陥る。
 この映画で徹底されている、「恋」に対する辛口な視線が面白い。どうあがいたって二人で過ごした楽しい時間は容赦なく消去されてしまうし、しまいには聞くに堪えないお互いの本音むき出しの悪口合戦が、ロマンチックなはずの映画のクライマックスのBGMと化す。(本当は違うんだ、と気まずくなっているジョエルがおかしい。)そこに「映画のような恋」はどこにも見当たらない。それなのにこの安心感はなんだろう。それは、目の前にいる大切な人への悪口が入ったテープを流す場面は、確かにシュールで強烈なものがあるが、そこに嘘はないからだ。喧嘩をしたくないから本音を隠すなんて、無駄な保身に過ぎない。恋する心は万能ではない。たまにぶちまけないと破裂してしまう。現実のカップルも悪口テープを流しあってみるのもいいかもしれない・・・その後の展開は保障できないが。
 どうしてジョエルとクレメンタインの二人はその後うまく話が進んだかといえば、もちろんお互いがお互いの記憶を消しあったという前提があったからだ。
 忘れてしまうことほど怖いものはない。もしかしたら二人ともあのままきれいさっぱりお互いのことを忘れてしまえたら一番幸せだったのかも、知れない。しかし不幸にも(?)二人をつなぎとめたものが強固すぎで(「モントークで会いましょ」)、結局二人はどうしたって離れられない運命にあったということなのだ。 同じことをまた繰り返したって、結局また同じ展開になるだろう。どんなに一度憎みあった仲だとしても、その人の存在そのものが自分を生かしていたのだから。相手を恋しく思う気持ちほど強い感情はないから。
 クレメンタインが「私と付き合ってるとそのうち息が詰まるわ」と言うと、ジョエルは「いいさ」と言う。二人はいつかまたすれ違いを起こすだろう。それでも、それはわかってても、これ以上に安心感のあるやりとりがあるだろうか。二人で一緒に過ごせて楽しい。それ以上に何を望もうというのか。
 「いつかは学ばなくては・・・」エンディングのベックの歌声が全身にしみ渡る。経験の未熟な僕には重過ぎる言葉。この映画はあまりに大人である。「幸福は無垢な心に宿る」の詩を見事に体現した映画。この映画の前では数々のラブストーリーがどれも嘘くさく感じられる。新世紀型の斬新なラブストーリーであるとともに、すべてのラブストーリーが行き着く終着点を示したと言っても過言ではない。
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by chuoeiken | 2005-05-03 01:22 | ラブストーリー
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