「あなたが男性だとして、ある朝、目がさめたら、心はそのままで、体だけ女性になったらどう思いますか。
性同一性障害の苦しみとはそういうものです。」 僕はこの映画を観る前も、観た後も「性同一性障害」という病気のことがよくわからなかったので、こちらのサイトから上の文を抜粋してみました。要するに、この病気を題材にした映画にもかかわらず、映画の中でほとんどこの病気について語られることがなかったわけですが、おそらく、障害を持った主人公を人間として平等に扱うためのはからいなのでしょう。だから、僕の生半可な知識を振り回すのもどうかと思うので、この病気の知識に関しては僕が興味を持った上の文だけにとどまらせていただきます。 「ボーイズ・ドント・クライ」というのは何だか不思議なタイトルです。「男の子は泣かない」と言うと、ジェンダー的な響きがあって、この映画にそぐわない感じがします。しかし現に、主人公のブランドンは泣きません。入った店で暴力を加えられても、ちょっと自分の体について振り返ってみたときも泣きません。だって男の子だから。男の子は泣かないものだから。そう、彼が泣かないのは、自分が男性であるという自覚を確立できているからです。「男の子は泣かない」というのは決してレッテルを貼るための言葉ではなく、彼自身が居場所を確立するために自分に言い聞かせている言葉であると思うのです。 しかし映画の中盤になり、彼は初めて泣いてしまいます。なぜか?襲われた恐怖からではありません。襲った相手に男性としても女性としても拒否され、自分の居場所を見失ったからです。自分が思う性と異なる自らの容姿を無理矢理目にさせられ、自分の心の中では同性と思っている人間からレイプされたら混乱してしまうに決まっています。 世界にいろんな人間がいる以上、男と女がある以上、多様な世界があり境界線もあります。しかし中には、それらの境界線につまはじきにされ、どの世界にも入れてもらえない人もいます。そういう時は結局、世界の違いを超えた、同じ人間としての愛しかその人を救えるものはないのです。それさえ受けることがかなわなかったら、どうやってその人が救われるのでしょう。 男の子は泣かないもの。その考え方は結構です。それで自分の居場所が確立できるなら。しかしそれ以前に、人間はみんな同じなのだから、いくら男の子だって、それが誰であったって、泣かせてしまうことがあってはならないのです… 鈴木
by chuoeiken
| 2005-09-17 00:37
| ヒューマンドラマ
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