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CASSHERN
CASSHERN_b0040244_22295368.jpg いかんせん長い。内容は決して悪くなかったのに。監督は、「長い!お前の話は長い!」と大滝秀治に怒られやしなかったのか。
 ストーリーは大体忘れてしまった。そもそも、ストーリーとしての全体のつながりが悪すぎてなかなか話に乗れないのだ。学生の、不慣れで歯切れの悪いゼミのプレゼンを見ているような気分になる(俺だよオレオレ!)。
 だがとにかく、手を抜いて作ってないのは好感が持てる。ただ、作り手の熱意が空回りしているのだ。全体的に力が入りすぎてて、観ている側はどこで息をつけばいいのかわからなくなる。その不器用さがこの映画の身上とも言えるかもしれない。しかし観る側としては、そんな不器用な熱意を観るためにわざわざ高い料金を払おうとはなかなか思わないからなぁ。う~む。

 一言で言ってしまうと、「全編クライマックス」という感じの映画。これはけなし言葉であり、ほめ言葉でもある。




 そもそもこれを観たいと思ったきっかけが、宇多田ヒカルの主題歌のタイトルが何だかいいな、と思ったからだった。

 「誰かの願いが叶うころ あの子が泣いているよ」

 このサビが言いたいことが、何かすごくわかる気がするから。
 その哲学をとても感じたのが、ごく私的な視点だけれども、最後の20分あたりだった。「人は存在するだけで誰かを傷つけている」みたいなセリフが飛ぶあたり、頭を殴られたような気がした。この言葉がこの映画のすべてだったのだ。この段にきて、僕はようやく監督が伝えたかったことを感じた。
 言ってしまえば、これは人が生きることに対する究極の結論なのだ。僕がこの映画がわかりにくいと感じたのは、この映画があまりにわかりやすすぎるからかもしれない。あまりにわかりやすいことほど、誰も触れたくないことであり、わかりたがらないことなのだ。自分の存在自体が誰かを傷つけているなんて、誰が思いたい?
 そういうのを「言っちゃおしまい」とも言う。主題歌だけで言いたいことが済んだら、この映画5分で終わっちゃうね、とか。
                            鈴木
by chuoeiken | 2005-10-23 23:59 | SF
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映画のReview
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