手がハサミでできた人造人間エドワードの姿を見たとたん、驚きました。ありゃっ何でティム・バートンが映画に出ているんだ?と。髪がボサボサで、無邪気で、植木や髪を切るハサミの使いこなしは天下一品、なのに日常ではまったくのぶきっちょ。監督のことは良く知らないのですが、バートンってこんな人なんだろうなあ、とニヤリとしてしまうのです。 すごく話の運びが強引なんですよね。それもバートンの味なんですが。ヒロインはエドワードに重荷を負わせすぎじゃないかとか、あまりに人間のエゴが過ぎる話じゃないかとか。しかしこの作品にツッコミは無用。バートンが自分の分身であるエドワードをとことんいじる、究極の自虐映画ですから。バートンのダークサイドを初めて体感しました。エドワードがあんまり哀れで、胸がつまるどころか、息がつまりました。今年最大の衝撃だったかもしれません。ああ・・・ エドワードはなぜハサミを持っているのか。この映画でそれに対する答えは出ません。そもそも、それはあまり不思議なことではないのかもしれません。エドワードにとってのハサミは、まさに彼を特徴づけるシンボルで、人にはない彼の個性です。植木や髪を切って人を喜ばせられるが、直接人に触れて喜びを伝えることはできない。自分にしかないものって、人を喜ばせられるかもしれないけど、それを持っている自分自身は結局孤独なんですね。この気持ちは誰にも当てはまるものではないでしょうか・・・誰でも心にハサミを持っているはずなんです。月並みな言い方ではありますが・・・ わかりやすいファンタジーのようで、とても大人な、深いおとぎ話です。なぜ人は愛したいだけなのに、人を傷つけたりしてしまうのか。そのとき僕たちは、ハサミの手を持った哀れな人造人間を忘れているのかもしれません。 P.S. この映画を観て、ああこれがティム・バートンなのか、とあらためて感服しました。こうやって見るとなるほど「ビッグ・フィッシュ」はかなり異例の映画ですね。今一度「ビッグ・フィッシュ」を観ると、今まで見えなかったものが見えるかもしれません。 鈴木
by chuoeiken
| 2004-12-08 01:25
| SF
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