グッバイ、レーニン!
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 ドイツという国が東西に分断されていた当時、ある青年アレックスの母は熱心な社会主義支持者だった。ある日母親は心臓発作を起こし、昏睡状態に。やがて意識を取り戻したが、その間に社会主義が敗れ、ドイツが統一したということを母は知らない。アレックスは母にショックを与えまいと、ドイツは今も社会主義国であると信じ込ませ続ける・・・。
 という話ですが、それほど家族愛に焦点を合わせすぎず、あくまでこういう家族もいたかもね、と一歩距離を置き、教科書には載っていないアプローチで歴史を見つめる話です。
 この映画で東西統一という事件は、少なくとも最初はおおむね悪者として描かれます。世間の流れに逆らって昔のドイツの品々を集めるアレックスの姿は、統一後自らのアイデンティティの所在に悩むドイツという国そのもののようであります。突然東と西が仲良くやっていくことになり、それに抵抗を覚えた人たちもいたことでしょう。
 東西統一そのものが悲劇ではなく、それによって自分の信念が失われてしまった人がいるというのが悲劇なのです。しかし、社会主義は敗れはしたけど、消滅したとは思えません。完全に資本主義に屈服することを嫌い、お互いに助け合うことを基調とした社会主義の意志は、脈々と国民の意識下に流れているのだろうと思いました。病床にいながらも国のことを思い続ける母親の姿を見て、信念を持ち続けることはすばらしいことである、と感じました。社会主義先導の象徴であるレーニン像が、母親に向かって手をかざした(ように見えた)シーンには、何か深い含蓄を覚えます。
 最終的に、この映画は東西統一に反対する話ではないことがわかります。ただ、昔のドイツがあったことを忘れないでほしいと主張しているのです。「グッバイ・レーニン!」と叫び、ドイツは「壁」をつき壊して独立して歩むことを決意しました。それは、かつてのドイツが信念を持ち続け、希望を捨てなかったからこそ成し得たのだと思いました。
 話はそれますが、ドイツ映画には不思議な情熱がある、と常々思っています。子供っぽいというか、純粋な熱意というか、悪く言えば先走ってるというか。ひたすら母のために、母のためにと昔のドイツを部屋中演出するアレックスや、ほかの映画で言うと、「ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア」で、死期の近い男たちが、人生の目標を達成するためにやりたい放題するとか。どこかおかしくて、どこか哀しげなその姿は、僕たち日本人には理解しにくいところではあります。東西分断、自分の国が引き裂かれてしまうという異例な事態を脱した国でないとわからないことなのかもしれません。しかし、ただひとつの目標のために、全身全霊ささげる姿は、誰でも大いに学ぶところがあるのではないだろうか、と感じました。
                                                  鈴木
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by chuoeiken | 2004-12-12 10:36 | ヒューマンドラマ
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