アメリカン・ヒストリーX
b0040244_22592228.jpg 「時計じかけのオレンジ」を思い起こさせました(実際ほとんど似てませんが)。こちらの作品のほうがずっと正統派な作りですが。とはいえ、意外と受け入れがたい部分のある映画です。一見の価値あり。
                           鈴木



 人種差別がテーマの映画ですが、あまりそういうバックグラウンドを大写しに描いてはいないように思いました。理不尽な暴力が起こったり、しまいには人まで殺されてしまうのは、人種差別うんぬん以前の問題じゃないかと言っているようです。人種問題を盾に暴力を起こす人たちは、個人的で身勝手なかんしゃくのはけ口として浅薄な人種問題についての持論を口にしているだけなんじゃないでしょうか。自分だけの世界に介入されることへの恐怖が肥大しきってしまった結果なのではないか。意外にそれが人種問題の実態だったりするのかも。実際はもっと根が深い話だとは思いますが、あまりに次元が低い事件が続くとそんな風にも考えてしまいたくなります。
 異人種排除のための反社会行動の先陣を切っていたデレクが刑務所から出所して、今までの自分の行動によって乱れてしまった社会を粛正しようというところから本式に話が始まるわけですが、僕は、社会を正そうという彼の行動にはじめから何か不穏なものを抱いていました。刑務所でのさまざまな仕打ちを体験すればさしもの彼も変わるのかとは思うのですが・・・そうだとしても彼が真人間に至るまでの掘り下げ方が足りないように感じました。本当に彼は刑務所で変われたのか?そう思わずにはいられなかったのです。デレクは、かつての悪友たちを(やはり)暴力を使ってでもねじ伏せ、説き伏せてますが、観ててう~ん、と思っちゃいますね。人が根本から変わるのはとても難しいんだぜ、とあくまでこの映画の視線はクールです。
 デレクが自分の過ちを正し、まさにこれからというところでまさかの事態が起こってしまうのですが、結局この映画は、こうなるぐらいならはじめからアホな考えを持ちなさんな、といっているのでしょうか。そう思うと、デレクの出所後の行動を見ていると痛くて仕方ありません。だけどこの映画は、デレクがそういう歪んだ持論を持つに至った経緯、つまり原因の原因をきちんと描いているのがよろしいです。デレクの父親は、これまた歪んだ人種差別についての持論で彼を諭すわけですが、デレクのように声を大にして自分の主張を通すのとは対照的に、すごく穏やかに静かに身勝手な主張を通そうとしているんですね。それがすごく怖い。なるほど、歪んだ考え方って、こうやって静かに埋め込まれていくものなんだ、と自分のことも振り返らずにいられませんでした。
 つまり、何よりもまず大事なのは「正しいことを知ること」なんだとこの映画は言っています。そのことについての正しい知識を持っていれば、悲惨な闘争を避けられるはずなんだと。つまりは、それこそが「闘う」ということなんじゃないでしょうか。
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by chuoeiken | 2005-03-20 00:11 | ヒューマンドラマ
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