カッコーの巣の上で
b0040244_1523012.jpg 世の中には洗脳的なものがしばしばあります。ちょっと油断するとすぐに自分の意見を見失い、与えられた情報に飲み込まれてしまいがちです。僕はと言うとたいていの映画を観ると反論もせずオモシレーオモシレーと喜んでしまうおめでたいヤツで、実によろしくありません。そういう話じゃありませんが。
 ではこの映画はどうだったかと言うと、思っていたよりもずいぶん静かな語り口で、僕にはちょっと刺激が足りませんでした。最近の映画などがあまりに刺激的になっているせいかもしれません。悪役?のラチェッド婦長よりも、某教室の女王のほうが洗脳的で怖かったですし。
 逆に言えば、静かに語られる分だけ観客に何かを考える余地が多く与えられていて、「人から何かを考える自由を奪ってはならない」というこの映画のテーマに即していたとは思います。



 ただ僕は、この映画の主張には少し戸惑いを感じました。その人自身が選択したことなら何をしても許されるのでしょうか。たとえば、終盤でチーフがマックを殺す(殺してあげた?)場面は、婦長の制圧から逃れてチーフ自らが選択したことだから、殺人も正当化された。本作のほうがだいぶオブラートに包んではありますが、主人公が束縛から逃れて覚醒する「時計じかけのオレンジ」のラストシーンとあまり変わらない気がしました。
 とはいえ、もし個々人の意見をすべて尊重する世界なら、たとえば戦争に賛成する人たちの意見を頭ごなしにねじ伏せることは、反社会的となるかもしれません。世の中に戦争や犯罪が横行しているのは、個々人の主張の自由が保障されている証拠でもあるのです。それを平和と呼べるのかと言うと大いに疑問はありますが、ただ一方的に何かを否定すれば問題が解決するのかというとそうでもないのです。
 何を平和と呼べばいいのか、非常に難しいところではありますが、そんな難しい世の中で何か出来ることがあるとすれば、常に周りに惑わされないように、良くも悪くも自分の意見を持つことだと思います。何かを考えて自分の意見を持たないことには、お互いに意見を交わすことさえ出来ないからです。意見は常に双方向的であるべきで、それが一方的になってしまえば、それは思考停止を生み、ともすれば洗脳になりかねないのです。
                            鈴木

 後記:あとでこの記事を読み返したところ語弊が見つかりましたので少し言い訳します。最初のほうでこの映画は刺激が足りないとか言っていますが、刺激のあるなしは映画のよしあしを決める判断基準にはならないですよね。これは僕の浅薄な視点が災いしたものであり、申し訳ないです。
 僕が言いたかったのは、この映画の世界観を踏襲したという「17歳のカルテ」に比べると激しくは印象に残らなかったと言うことです。前の記事にも書いていますが、こちらの映画は僕にとっては観ているのが多少きつく、その印象が強く残ってしまったためについ両映画を見比べてしまったのです。
 どちらがいいとは一概に言えませんが、「カッコー~」にも印象深い場面があり、たとえばチーフが自ら手を挙げる場面、チーフが洗面台をぶん投げて壁を壊す場面などは後からじんわり来るものがあり(チーフばかりですいません、僕のお気に入りなんです)、そういう点では、この映画は後世に長く語り継がれる要素があるのではないかと思いました。
 私事ですが、ブログ開設当時に「17歳のカルテ」の記事を書いてから、ちょうど1年目に(1か月分空いてるって本当ですか?)はからずもこの記事を書いたことは、我ながら運命的なものを感じます。
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by chuoeiken | 2005-10-04 02:19 | ヒューマンドラマ
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