チャーリーとチョコレート工場
b0040244_2371510.jpg 僕はいつもティム・バートンの映画から「誠実さ」を感じます。自分のことをわかってほしい、というひたむきさというのか。ティム・バートンが常にただのオタクに堕さないのは、彼の根本に純粋で汚れない精神があるからでしょう。
 しかし今回は、彼自身自分に余裕が持てたのか、あからさまな俗っぽいパロディがあったりなど、良くないほうに悪乗りした感じの映画でした。ストーリーはバートンらしくきわめて単純なのですが、今まではそれでよかったのは、背景が非常に雄弁なものだったからです。今にも崩れ落ちそうな危ういバランスを保った背景が、観客の強烈なシンパシーと没入感を呼んでいたのです。それがなくなってしまえば…残るのは単純なストーリーだけです。



 大きな建物に(ウンパ・ルンパがいることを除けば)一人たたずむジョニー・デップ…これはまさに「シザーハンズ」のパターンそのもの!ですが、「ウィリー・ウォンカは一人ぼっちの工場でチョコレートの像をチョキチョキ刻み、世界中にチョコレートの雪を降らせている…」なんてしんみりした展開がこの能天気な映画にあるはずもなく、ウィリーはあっさり過去のトラウマを克服してしまいます。チョコの雪が降ってきたら迷惑だしね。
 こういう基本的に明るい話だったら、父との和解なんて変に感動的にしたりせず、「ビートルジュース」みたいに徹底的に明るくして欲しかったですね。人嫌いなウィリーが無理矢理明るく振舞っているところがこの映画のバートンらしさを保っていただけに、ウィリーが父と和解した後の姿がどうもわざとらしく見えてしまい、残念でした。これは同じく父と子の絆を描いた「ビッグ・フィッシュ」とは基本的に方向性が違う映画のはずです。
 ウィリー・ウォンカの存在感は期待通り。ウンパ・ルンパの存在感は期待以上。観ている間は楽しかったのに、観終わると何だか腑におちない。僕が非常に残念なのは、この映画の方向性が掴めなかったことです。僕としては正直、工場に入る前のオープニングで人形が燃え出しちゃうあのノリで通してほしかったのですが、まああの辺でほどほどに止めるあたりがバートンらしいともいえるのですが、ううむ。
 キビしいことばかり書き連ねましたが、バートンにはこれからも今までのような心を揺さぶられる映画を作ってほしいというエールを込めているつもりです。ともかく、バートンの中にまだゴールデンチケットが隠されていることを願いつつ、「コープス・ブライド」に激しく期待するのでありました。
                            鈴木
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by chuoeiken | 2005-10-06 23:55
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