カテゴリ:アニメーション( 6 )
ベルヴィル・ランデブー(監督シルバン・ショメ、フランス=ベルギー=カナダ、02年)
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 この映画にはセリフが殆ど使われていない。多くの作品とは比べようもない位、豊かな登場人物の個性を「絵」だけで表現しているのである。『ベルヴィル・ランデブー』は、昨今のセリフによる説明型映画のアンチテーゼともいうべき作品なのである。
 主人公は、老婆である。両親不在(何故不在かを観客に想像させようとしている)の家で、孫と生活している。何も喋らない孫に、老婆は孫を観察し好きなことを発見しようとする。実写で描いたら暗くなってしまいそうな物語を、個性的な絵で淡々と特異なキャラクターを描いている為、明るい「面白さ」があるのである。アニメーションとはかくあるべきか、と思わせる秀逸な演出が光っている。特筆すべきは、セリフを徹底的に省いたことである。その演出により、登場人物の「動作」が強調されているのである。各登場人物の行動は突飛ではあるが、動作にはリアリティがある。そのギャップが、この作品をずばぬけて面白くしているのである。
 本来、映画の面白さは「動き」の面白さに比重を置き、ストーリーやセリフを観客に想像させる点であった(トーキー映画時代までは)。ところが映画に音が入るようになってから、登場人物の「言葉」に多くを頼りながら物語を作るようになってしまったのである。この作品は「動き」の面白さを存分に取り入ている。もちろんそれだけではなく、ストーリーも秀逸でありセリフ以外の「音」の完成度も高い。ここまでのレベルに達した作品を、面白くないと言う人がいるのだろうか。

                      三橋 慶太
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by chuoeiken | 2005-11-08 13:28 | アニメーション
霧につつまれたハリネズミ(監督ユーリ・ノルシュテイン、ロシア、1975年)
 
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 とても美しいアニメーションである。10分足らずの作品ながら、他の追随を許さない圧倒的な雰囲気が流れている。
 主人公であるハリネズミが、コグマの家にたどり着くまでを描いた作品である。こう聞くとよくありそうな単純な物語に聞こえるが、そうではない。ハリネズミが一歩、歩くたびに様々な出来事がおこるのである。不安なこと、楽しいこと、寂しいことなど、人が人生で遭遇しなければならない様々な出来事に遭遇していくのである。その全てのシーンが、本当に美しいのである。
 観終わった後、感動的な詩を読み終わった後の様な心地いい感覚が残る。そして、この映像は素朴にたまたま出来たものではなく、気の遠くなるような作業の結果であることに気づく。世の中で、人が創った人に感動を与えるあらゆるものは、その背後に製作者の恐ろしい程の努力が隠されているのである。
 『霧につつまれたハリネズミ』の監督であるユーリ・ノルシュテインは、世界で最も尊敬されているアニメーション作家である。この作品を観れば、多くの人がその事実に納得せざるを得ないであろう。
                        三橋 慶太          
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by chuoeiken | 2005-10-26 18:17 | アニメーション
TAMALA 2010 a punk cat in space
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 カルトアニメだというから多少身構えてはいたが、思っていた以上に難しい話だった。邦画は、アニメの形式を取った途端に突如饒舌になり難解な哲学をまくしたてるのが最近の流行のようで。話はまったく変わるが、私は「イノセンス」というアニメが苦手だ。特に変わったことのないようなストーリーに、わかったようなわからないような哲学をぶち込んで丸投げされたという気がどうしてもする。それはそれでいいのだが、映画の雰囲気が、冷淡な優等生がかもし出すそれのようで、こちらが話に入り込む余地がないように思ってしまうのだ。
 しかし、このTAMALAは画が変わってて面白い。語られている哲学は難解ではあるけれど、画のせいかあまり嫌味がない。映画の雰囲気も、全体的に疲れてて覇気がなくてとてもいい。何というか、人生を達観したインテリな友達としゃべっているような感覚に陥る。哲学は、豪勢なじゅうたんの上で語られるよりも、シュールに、何が何やらという感じに語られたほうが面白いし合っていると思うのだが。
                            鈴木

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by chuoeiken | 2005-07-10 01:06 | アニメーション
マインド・ゲーム
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 なんというかこの映画、面白かったという以前に、軽く放心させられました。自分の観たものが信じられないというか。大げさに言っちゃうと、僕はこんなアニメを待っていたような気までしたのです。
 去年の夏にこの映画はすでに観ました。ただそのときは、この映画の目くるめく奔放なイマジネーションの嵐に翻弄されるままになってしまい、改めてDVDで内容を確認したかったんです。でも初めて観たときの印象と大して変わらなかった。ストーリーはものすごく単純です。主人公があの世から戻ったり、クジラに飲まれたりといった急展開があるにしても、昨今の小難しいSFアニメに対する皮肉なんじゃないかってくらい下世話で日常的なテーマの映画。最新鋭の技術を駆使したアニメーションに吉本興業のコテコテな大阪のノリを合わせるなんて、過去に誰が思いついたことでしょう。
 この映画にアニメの可能性を感じた、という人がいます。僕もそれを感じましたが、少なくとも画面のクオリティの高さを讃えてのことではありません。いまさら技術の高さを誉めたってすでに言い尽くされてる。僕がこの映画をすごいと思ったのは、なんというか、画がすごく「生(ナマ)」の質感にあふれてるからです。クリエイターの人がパッと思いついた画を加工せず、そのままフィルムに移したような感じ。だからすごく荒削りながらもナマの躍動感に満ち満ちているんです。原画を丁寧に丁寧に加工するのが本来のアニメと思っていただけに、この映画の技術の使い方は不意打ちといわざるを得ない。材料本来のおいしさを出し尽くせているというか、こんな使い方もありなんだ、と。
 実写では出し切れない躍動感でもって登場人物の心情を原子レベルまで表現できる!僕がこの映画を評価したいのは、映像的な面ではなく、精神的な面においてであり、その意味で僕はこの映画にアニメの可能性を感じた、と言いたいのです。
                                                  鈴木

ストーリーのこと
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by chuoeiken | 2005-01-23 01:42 | アニメーション
 木を植えた男  フレドリック・バック/カナダ/1987
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 この作品は30分足らずのアニメーションだ。といっても、ただのアニメではない。テレビで流れている漫画の延長線のそれではなく、「絵画」が動くのだ。美術館で観るような情緒ある絵だ。監督のフレドリック・バックはこの作品に4年半費やした。色鉛筆で2万枚もの絵を描いてこのアニメーションを創り上げたのだ。
 驚いた。やわらかいタッチの絵画が奏でる物語は、三国連太郎のナレーションと共に自然と私の心の中に入ってきた。何故、これほど私の心を打つのだろうか。それは恐らく、この作品が何らかの事件が起き必ず何人か死ぬような映画でもなく、ドラマティックな恋愛や深刻な心の悩みを描いたものでもないからだろう。私はそんな手管映画にうんざりしていたのだ。最近観た映画がことごとく駄作だった、というのもその理由の1つではあるが。もちろん、ほとんどの映画は先に言ったようなジャンルに分類される。観客はそういう映画に感動したり、興奮したりする。当然だ。それが人というものだ。だが世界はそれだけで成り立っておらず、それだけでは世界を取りこぼしてしまう。「木を植えた男」は数多くの実写映画やアニメとは別の世界を描いているように思える。すなわち、独特の1つの視点だ。
 妻も子も失った男は、荒地で毎日木の種を植え続けた。何年も、何十年もである。次第に荒れ果てた土地は林になり、森林になり、山を覆い尽くすような森になった。男は1人で生きていた。自分の生き方に誇りと自信を持っているようだった。男は誰がいなくても、たった1人で生きていくことが出来た。自分がやっていることに、本当の意味でのやりがいと心底からの喜びを感じていたからだ。
 この作品は他の映画とは違う。普通、映画は人間関係の上に生ずる。または何らかの対立によって成り立っている。この作品にはそれがない。1人の男がひたすら木を植え続けるだけだ。男の心の葛藤など描かれていない。それなのに、これほど人を感動させることが出来るのだ。この作品が1人の人間の存在の大きさと、自然が、森の木々が、どれ程人間にとっても大切であるか切に訴え掛けてくるからであろう。
 優しい作品だ。その優しさは厳しさでもある。人間がいつまでも戦争を止めず、現代人の生活そのものが環境汚染を深刻にしていることへの痛烈な批判だ。人々はきっと、もっと優しく生きられるはずだ。理屈を抜きにしてそんなことを感じさせてくれるこの作品は、素晴らしいアニメーションだ。

                                          三橋 慶太
                               
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by chuoeiken | 2004-12-18 19:35 | アニメーション
ハウルの動く城
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宮崎アニメ久々の洋風の作品ですが、雰囲気はとてもよく出ていました。豊かな自然の描写など、ファンタジー世界にふさわしい空気を出していたと思います。
ストーリーに関していうと、どうも話の抑揚が物足りなかったような気がします。ストーリーの運びはテンポがいいのですが、このキャラクターがどういう人物なのかとあまり説明をされないままに話が進んでしまうので、感情移入をするのが難しかったのが実際のところです。
物語の背景で戦争が起こっていますが、その戦争もどこか遠いところで繰り広げられているという感じがしてしまい、緊張感を欠いていたような気がします。ハウルは戦闘から帰るたびにボロボロになったり、心を悪魔に侵されつつあったりしますが、実際彼がどれだけ深刻な状況に身を置いているのかをもう少し知りたかったです。
悪口ばかり書いていますね・・・いや、実際楽しめました。お金を払うだけの価値はあります。だけど、もう少し登場人物の描写とか、時代背景の描写に時間を注げばもっといい作品になったと思われるのが惜しいところです。
最後に、皆さんが気になっていると思われる声優陣についてですが、キムタクについては、何というか、良かったり悪かったりです。彼は普段ドラマ慣れしているので、何気ない日常のシーンではさすが自然な演技を発揮していますが、こういうファンタジー映画の非日常な世界での台詞をしゃべると、どことなく違和感を感じてしまいます。声の質はハウルの雰囲気に合っていたと思います。もう一押しすればもっといい雰囲気が出せたと思うのが残念です。でも、キムタクよりも気になるのが・・・まあ、あまり多くは語りません。実際に自分の耳で確かめてください。宮崎アニメ常連の美輪明宏や、我修院達也に関しては、もはやつっこむ所はありません。さすが、見事でございました。
                                                  鈴木
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by chuoeiken | 2004-11-21 14:56 | アニメーション



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