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シュバンクマイエルの不思議な世界
b0040244_233515.jpg ヤン・シュヴァンクマイエル監督。私にとって『悦楽共犯者』に続く二作目だ。『悦楽共犯者』にも度胆を抜かれたが、この短編集にはさらに度胆を抜かれた。
この監督の特徴はなんといってもストップモーションによる映像である。しかし、日本のメルヘーンな映像(といってもそんなにストップモーションアニメ見たことは無いんですが…)を想像してはいけない。この監督の映像は、非常に生々しく、気持ち悪い(!)のだ。粘土をはじめ人間まですべてを作品に利用してくことで、その世界は無限にひろがっており、我々と近いところに存在するのである。そして監督はまるで中の役者や物体から一度から魂を抜いて、そののちまた魂を吹き込んでいるようである。それが人に恐怖を与えるのではないだろうか。例えて言うなら古びた人形の恐ろしさとでも言おうか。この監督の映像、世界観はほとんどホラーだ。しかし見ているとなぜか笑ってしまうのである。よくわからないが映像の不思議さにやられているのだと思う。 

ヒサツグ

短編集の個別の感想
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by chuoeiken | 2005-01-31 01:59
リリイ・シュシュのすべて
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この映画について客観的に語るのは無理な気がします。だからここには僕のあまりにも率直な感想を書くのですが、2時間半、悪夢をみているようでした(断じてつまらなかったと言っているのではありません)。それも自分の中学生時代の。
この作品は描写がリアル、そして自分の過去と全く似ていない。そんな逆説を孕んでいると思います…。
他に観た人の感想が聞きたいですね…
                                                 小笠原
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by chuoeiken | 2005-01-28 05:01 | 青春映画
時計じかけのオレンジ
b0040244_193026.jpg 僕にとってこれがスタンリー・キューブリック映画初体験です。これを観て以来当然のごとくキューブリックにはまったわけですが、「2001年宇宙の旅」なんかはあまりに難解で神々しくてとても書く気にならない。現代社会にも通ずる問題提起をしている今作を挙げるのが無難だと思いました。
 雑然としているようでアーティスティックかつ無機質な美術、原作でもトリップ感満点だった不思議な若者言葉、全編を華々しく飾るクラシック(暴力シーンにまで!)。そのすべてが渾然一体となって、観客を別世界へといざなう。特にアレックス役のマルコム・マクダウェルが、いつも役者の演技が大味気味なキューブリック映画の中にありながら傑出しています。
 ただひたすら傍観者の目を貫くキューブリック特有の「神の視線」の面目躍如というところです。キューブリックは深く考えながらシーンを撮ろうとしない。ただそこで起こっていることを映すだけ。余計な味付けもせず。だから観客は惑わされるのです。あたかも本物の事件を目の当たりにしているがごとき臨場感を味わう。キューブリックの出す料理は余計な味がしないものだから、観客は料理の味付けに頼ることができない。頼れるのは自分の味覚だけ。それゆえ、観客はだんだんと自分の味覚に懐疑心を持ち始めるのです。
 物語後半、アレックスが真人間に戻ってようやく観客が溜飲を下げかけたとたん、アレックスにとんだ運命の皮肉が襲いかかる。すっかり映画の世界に漬かってしまった観客は、どうしたことか、心の中でアレックスに同情してしまうのです!このあたりはぜひご自分の目でお確かめいただきたいのですが、僕はこのあたりのくだりを見ていて居心地が悪くなりました。映画の暴力性のせいではなく、自分の価値観のせいです。僕はこれまで善良な一市民のつもりで過ごしてきましたが、果たして自分が「善」だと信じているものが何で、本当の「悪」というものはいったい何なのか、そして本当に自分は善良と呼べるのか。本気で考えてしまった。自分の価値観に疑問を抱いたのです。ここまで観客の心を乱し、自分の心の中と向き合わせ、深く考えさせるというのは、映画として、話としてすごいと思う。僕はすっかり、原作者と監督の仕掛けた罠に自分からはまり込んでしまったのです。

 この映画に真ん中の評価は存在しないと思う。好きか嫌いか。でも僕は、いくらこの映画が嫌いと言われてもいいから、少しでも多くの人にこの映画を伝えたいと思うのです。なぜなら、この映画を観ることで本当の自分と向き合えると思うのです。自分が今まで一番正しいと信じて疑わなかったものが、この映画を観ることであっけなく覆されてしまう。しかしそうなることで、自分が本当に信じるべき点、否定するべき点が生まれるのだと思います。
 この映画で暴力をあまりにスタイリッシュに描きすぎているという批判は否定しません。だがこの映画は挑発的ではあるが決して暴力を賞賛するような映画ではないはずだと思う。この世界の近い将来(つまり僕たちの今の世界でしょうか)を見据えた、素直で、赤裸々で、きわめて真面目な映画だと思うのです。
                                                 鈴木
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by chuoeiken | 2005-01-26 20:23 | SF
マインド・ゲーム
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 なんというかこの映画、面白かったという以前に、軽く放心させられました。自分の観たものが信じられないというか。大げさに言っちゃうと、僕はこんなアニメを待っていたような気までしたのです。
 去年の夏にこの映画はすでに観ました。ただそのときは、この映画の目くるめく奔放なイマジネーションの嵐に翻弄されるままになってしまい、改めてDVDで内容を確認したかったんです。でも初めて観たときの印象と大して変わらなかった。ストーリーはものすごく単純です。主人公があの世から戻ったり、クジラに飲まれたりといった急展開があるにしても、昨今の小難しいSFアニメに対する皮肉なんじゃないかってくらい下世話で日常的なテーマの映画。最新鋭の技術を駆使したアニメーションに吉本興業のコテコテな大阪のノリを合わせるなんて、過去に誰が思いついたことでしょう。
 この映画にアニメの可能性を感じた、という人がいます。僕もそれを感じましたが、少なくとも画面のクオリティの高さを讃えてのことではありません。いまさら技術の高さを誉めたってすでに言い尽くされてる。僕がこの映画をすごいと思ったのは、なんというか、画がすごく「生(ナマ)」の質感にあふれてるからです。クリエイターの人がパッと思いついた画を加工せず、そのままフィルムに移したような感じ。だからすごく荒削りながらもナマの躍動感に満ち満ちているんです。原画を丁寧に丁寧に加工するのが本来のアニメと思っていただけに、この映画の技術の使い方は不意打ちといわざるを得ない。材料本来のおいしさを出し尽くせているというか、こんな使い方もありなんだ、と。
 実写では出し切れない躍動感でもって登場人物の心情を原子レベルまで表現できる!僕がこの映画を評価したいのは、映像的な面ではなく、精神的な面においてであり、その意味で僕はこの映画にアニメの可能性を感じた、と言いたいのです。
                                                  鈴木

ストーリーのこと
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by chuoeiken | 2005-01-23 01:42 | アニメーション
つぐみ

b0040244_16142450.jpg吉本ばななの小説『TUGUMI』を映画化。
僕が吉本ばななの小説に出会ったのは受験生の頃です。
たしかセンター試験(だったと思う)の過去問に『TUGUMI』の抜粋が出ていて、解答し終わった後、すごく爽やかな気分になったのを覚えています。ハタから見ているとやばいですよね、試験問題解き終わっても、しばらく問題の文章を眺めてニンマリするなんて。その日は予備校の帰りに古本屋に立ち寄って原作を買いました。

ところで、文庫版のあとがきにこんなことが書いてあります。
――突然ですが、初恋をおぼえていますか?
その人と自分がいっしょに歩くようになるだけで世界はうまくいくだろうと信じていた頃を。あの清らかなエネルギーを。
この小説はその頃の世界観、宇宙観で描かれています。とどめるのは、とてもむつかしいあの、独特に美しい丸い風景です。

宇宙観!そう、僕はこの世には、女性にしか持てない宇宙があるんじゃないかと思うんです。それはまさしく作品に登場するつぐみの様にわがままで傲慢であり、それが一つの透明な景色として完結している。そこには社会的な倫理観や観念なんて入ってこれない。
でもその宇宙には寿命があって、気が付いたら外の空気と混ざっている。

映画ではその過程が「夏」という季節を通して繊細に表現されています。監督は市川準。そういえばもうすぐ彼の最新作『トニー滝谷』が公開されますね。いや、もうしてたっけ。
                                                    小笠原
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by chuoeiken | 2005-01-21 16:20 | 青春映画
家族ゲーム

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1983年度作品 カラー・106分
監督 森田芳光
出演 松田優作 伊丹十三 由紀さおり

優等生の兄・沼田真一を持つ茂之は成績がクラスで下から9番目だった。高校受験を控えても全く勉強しない息子に心配をよせる(?)両親は家庭教師を雇うことにする。

果たしてこれはコメディなのでしょうか。なんというか、言葉で説明するのが難しい映画です。
それでも言うなら、ほとんどの人がまず最初に松田優作について語りだすのではないでしょうか。彼が出る場面はその何気ない仕草でも、緊張してみてしまうのです。
全体を通して、彼は台詞をあまりはっきりと言いませんでした。ボソボソと独り言みたいに喋ります。だから聞き取れなかったりもするんですが、いや、それすらも「演技」として成立させてしまうのは一体何なのでしょうか。

音楽は一切なし。普通、エンドロールにはテーマ曲が流れますが、この作品のを見たら結構ビビると思います。
                                                 小笠原
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by chuoeiken | 2005-01-02 07:01 | コメディ



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