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昼顔
不感症に苛まれ、夫との行為に及べない美女・セヴリーヌは、その肌の下には滾る肉欲を潜めている。貞淑という表情に化粧をのせながら、夫と違うベッドで眠る度、男たちに乱暴にいたぶられるのを夢想する彼女は娼館を訪れる……。

婉曲的な官能表現に彩られ、潔く且つやわらかい場面転換で紡がれるこの作品には、悪意にも似た魅力が満ちている。
というのは、作中でセヴリーヌが見る夢――もうコメディの域かというほど物語の筋から乖離したシチュエーションやボキャブラリーで彼女が嗜虐されるのだが、カメラが夢へとシフトする方法が、通常の場面転換と全く変わらないのだ。「アレ、これは夢だよね?」と確信する頃には現実へとカメラが向いている。そのトリックは序盤からエンド・シーンにまで貫かれる。この手法が持つ演出力というのは甚大だ。
物語というのは受け取り手に対して親切である必要があるが、過剰な親切は受け取り手の解釈の余地をなくしてしまったり、話の筋を堕落させたりする。現実世界と夢想世界の境界線の不在は、シンプルに観ればもちろん不親切なもの。だが作り手がそれを親切な形にまで昇華して、「親切な不親切」を作り出したとき、受け取り手は自分の個性にあかせた解釈を許される。

人間がセックスに対して抱く憧憬をシチュエーション・コメディに擬態させるかのように描ききった傑作。虚脱するしかない。一年ぐらいしたらもう一回観たい。それを一生続けたい、という映画。b0040244_14492740.jpg
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by chuoeiken | 2008-01-31 14:49 | ヒューマンドラマ
屋根裏の散歩者
江戸川乱歩原作を実相寺昭雄が映画化。原作は短編なので一読をすすめる。あれだけ短い話を77分に引き伸ばしたのはさすが。

六平直政・寺田ミノルといった実相寺作品の常連が登場、また明智小五郎を演じるのは嶋田久作である。嶋田版明智はやっぱりスマートさがなく、どことなく粘着質なイメージ。

作品自体はほぼピンク映画といっていいほどベッドシーンばかりである。ウィキで調べたところ、昔実相寺はアダルトビデオの監督をやったことがあるらしい。ウルトラマンからピンク映画まで幅広く撮れるのが実相寺の魅力でもある。

実相寺演出といえば昭和臭のする画面をまず思い浮かべていたのだが、この作品を見ると照明に力を入れていることが改めてわかる。光と闇の織り成す世界こそ、晩年の実相寺作品の真骨頂である。


写真は淡い光の中、屋根裏から覗かれているとは知らずにバイオリンをひいているシーン
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by chuoeiken | 2008-01-30 02:32 | ミステリー



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