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ロック・ユー!
ロック・ユー!_b0040244_2019699.jpg 面白い。観たらスカッとします。
 ストーリーはあまりに出来すぎなんだけど、ひねくれてなくて直球な面白さで本当に良い。主役のヒース・レジャーが、初めはほんとにただの田舎の大将みたいなんだけど、どんどんカッコよくなっていくんですね。魔法です。
 ポール・ベタニーは、すごくクールな俳優というイメージがあってちょっと近づきがたかったんですが、この映画に出てくる胡散臭い詩人役が非常に合ってて、親近感がわきました。
 あとこの映画で面白いな、と思ったのが、主人公が思いを寄せているお姫様が、槍合戦で連勝続きの主人公に対して、私を愛しているなら試合で負けてって言うんですね。主人公はあっけに取られるけど、その言葉通り、主人公は試合でわざと負けて公衆の面前で情けない姿をさらします。
 これは何だか意味深だと思いました。僕はこれは、お姫様が主人公のことを思っているからこその言葉なんだと思いました。主人公は、屈辱を知らないままずっと勝ち進んでいったら、どこかで潰れていたに違いない。彼は、屈辱を味わって初めて英雄たりえたのです。
 そういうひねったバランス感覚が、他のアメリカ映画と一線を画していて良い。イギリスという舞台設定を大事にしています。後はやはりポール・ベタニーの存在感ですね。英国出身の彼のオーラがまたこの映画を引き締めている。
 そのあたりがそこらのハリウッド映画とは違うところです。これは普通に面白いです。オススメです。
                            鈴木
# by chuoeiken | 2005-12-22 21:19 | アクション
飢餓海峡(監督内田吐夢、1965年)
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 圧倒される。昭和22年、台風のため嵐となった海で青函連絡船沈没の惨事が起きた。嵐の海は船客532名の生命を奪った。また、少し離れたところで大火事が起きていた。どちらも、本当にあったことである。それらの出来事を結びつけた水上勉の小説が原作だ。16ミリで撮られブロードアップされた映像は、荒くしかし異様な「凄み」を伝えてくるのである。
 何より三國連太郎の凄さが、この映画に圧倒的な説得力を与えている。打ち上げられた死体は乗船名簿より2人多かった。そこから、刑事の追跡、主人公の逃避行などが10年間に渡って描かれていくのである。三國の演技は、戦後まもなくでなかなか食えない状況にある貧困を伝えてくる。本当に痩せこけていて、目の前でおにぎりを食べている人を本当にうらやましそうに見るのである。その三國演ずる、犬飼という人物の「飢餓」がこの映画のキーワードだ。三國は登場のシーンから、その「飢餓」を感じさせてくる。しかしこの映画は、貧乏という「飢餓」だけを描いているのではない。人間の心の飢餓を描こうとしているのである。それは、生きるためなら何でもしようとする人間の心だ。人の「真実」を信用できない人間とは何なのか、そもそも「真実」とは何処にあるのか、ということを真剣に考えさせてくるのである。
 『飢餓海峡』は、内田吐夢が70歳を目前に撮った作品だ。それとは思えないこの映画の圧倒的な迫力が、人間誰もが持っている「飢餓」に観客を突き落とすのである。
                      三橋慶太
# by chuoeiken | 2005-12-21 18:38 | ミステリー
戦争のはらわた(監督サム・ペキンパー、西独=英、77年)
戦争のはらわた(監督サム・ペキンパー、西独=英、77年)_b0040244_17162292.jpg
 
 本物の戦争映画である。この作品を観ると他の多くの戦争映画がウソ臭く見えるであろう。すなわち、「戦争は人間と人間が殺しあっているに過ぎない」と言うことが伝わってくるのである。
 映画の前半、ドイツ人とロシア人との戦闘がある。30年前の作品と馬鹿にしてはいけない。『プライベート・ライアン』のオハマ・ビーチのシーンと負けず劣らずのリアリティがあるのである。しかしその戦闘シーン、私にはロシア人とドイツ人の区別が殆どつかなかった。後のシーンを観て、それが意図的な演出であることが分かる。ペキンパー監督は「戦争」を描こうとしている訳ではなかったのだ。人と人の殺し合いを描こうとしていたのである。「殺し合い」のシーンには音楽が一切使われていない。昨今のエンタテイメントとしての戦争映画とは一線を画しているのである。
 この作品のあまりに冷徹な設定にゾッとさせられる。特に、主人公ジェームス・コバーンが同じドイツ兵を撃ち殺すシーンがそうである。自分も同じ立場なら、同じように撃ち殺したかも知れないと考えさせられるのだ。戦争は、人が人を殺しても仕方ないと思わせる状況を生みだすのである。この映画を観た人は、ジェームス・コバーンの笑い声が1日中頭から離れないに違いない。                            
                   三橋 慶太
# by chuoeiken | 2005-12-20 17:18 | 社会派ドラマ
ロゼッタ(監督リュック&ジャン・ピエール・ダルデンヌ、仏=ベルギー、99年)
 
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 重く、そして真っ直ぐな映画である。主人公ロゼッタは、「まとも」な生活をしたいと渇望している。アル中の母親とバスに暮しているのだ。ダルデンヌ兄弟のカメラはそんなロゼッタをピッタリ追い、観客を彼女の置かれた状況に放り込む。ロゼッタを取り巻く環境は複雑で、彼女の心は常に揺れ動いている。その為カメラがいくら手ぶれしても、彼女の心情を表しているようで自然に思えるのである。
 『ロゼッタ』は『魔女の宅急便』の正反対の映画である。ロゼッタの目的は、劇中まったくぶれない。だから、ストーリーは分かりやすく簡単に彼女に感情移入できる。ロゼッタは、「まとも」な仕事を探し町中を走り回る。生きるためにあらゆることを試みるのである。「キキ」とは違いロゼッタは、仕事を得るためなら汚い手も使う。喧嘩もする。人間、生きるためならあらゆることをするのだ。ロゼッタは極めてリアリティもある人物像で、まるで本当に存在しているかのようなのである。
 生きることの困難、「まとも」な生活が出来ることの有難さ、それらが実感として伝わってくる。とりわけ、ロゼッタが管理人からガスを受け取り、運ぶシーンが印象的である。ガスの重さに彼女の表情は苦痛にゆがんでいる。少女には抱えきれない現実を抱えていることを象徴しているのである。ロゼッタには、ほんの少しでも「支え」が必要だったのだ。    
                      三橋 慶太                                                    
# by chuoeiken | 2005-12-20 17:13 | 青春映画
マッドマックス2
(↓読み飛ばしてください!) 

 最近映画を観ない。映画を観ないから感想が書けない。これは、映画を観てリアルタイムで感想を書かないと気が済まないという、僕の妙なプライドが邪魔しているからなのだが、別に前に観た映画の感想を書いたっていいのだ。なぜ書きたくないかといえば、その映画の「意味」を自分なりに見つけないと、どうもその作品について語りたくならないからである。時間が経ってしまえば、その映画の「意味」などたちどころに風化してしまう。そうなると僕は、感想を書く気をなくしてしまう。
 しかし、ここ最近鈴木清順などの作品を観るにつけ、映画に必ずしも「意味」など必要ないという、心強い啓示を聞きつけた気がして、僕を後押ししてくれた。そもそも映画に絶対的な「意味」など存在しないのではないか。映画の「意味」なんて、その作品を受け入れられるように観客が勝手に後付けする物でしかない。
 意味が何だ。いくら時間が経とうが、いくらその映画に意味がなかろうが、変に意味を探ろうとせず、自分の思うままに語ればいいのだ。それに、更新のまばらなブログは読む者を惹きつけない(←どの口が言えてるんだ?)。そういうわけで、これからは過去に観た映画についてもなるべく感想を書いていこうと思っていますのでどうぞよろしくお願いします♪

(↑読み飛ばしてください!)

マッドマックス2_b0040244_0164038.jpg


本題。ネタばれないです。
# by chuoeiken | 2005-12-20 01:52 | アクション



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